ゴールデンレトリバーと過ごした思い出

あれは私が小学生の頃だったと思います。それまで実家では秋田犬や柴犬など何頭か犬を飼っていました。しかしどの犬よりも記憶に残っているのがゴールデンレトリバーとの思い出です。名前をチロと言いました。ずっと実家では祖父母が犬を飼っていたのですが、50歳を過ぎて、犬を飼うのをやめてしまい、何年か犬がいない生活を送っていました。そんな時、私の父がいきなりゴールデンレトリバーを連れてきて、「今まで動物いたのにいないのは寂しいだろう」と一言。祖父母は「こんな大きいと散歩どうするんだ」と困惑していましたが、まんざらでもない顔をしていました。なんせまだ連れてこられたチロは子犬で愛くるしい顔を向けてくるのですから。

まだ子犬のチロを見て、私も「散歩するから」と祖母にここで飼いたいことを懇願し、祖父母の元で飼ってもらいました。私は新しい家族に嬉しくなり、学校から帰ると毎日散歩をし、エサをあげることを日課としていました。最初は玄関で飼われていたチロも半年もすると大きくなり、庭の犬小屋で飼われ始めると夏場は夜まで犬小屋の近くでチロと過ごしていました。しかしやはり大型犬。小学生の私の力では散歩が出来ず、何度も引っ張られて転ぶことが増えて、何度も泣かされた記憶があります。

それでも嫌いになることはなく、転んで泣いている私の顔を舐めってくるチロはとても可愛く思えました。1年もするチロは色々なことを理解したのか、私を引っ張らず、私が犬小屋に行くとお腹を向けて、「寝ていく?」という顔をするなど本当の家族のようになっていました。そんなチロも私が中学生の頃には歳を取ってきて、首のところに腫瘍が見えていました。その時私は部活や学校の友達を優先して過ごしており、チロの世話もすることが少なくなっていました。

それでもチロは私が帰ると出迎えたり、後を追ってきました。ヨボヨボになりながらも私のことを大好きだとアピールしてくれました。最後の日は私が学校に行っている間に亡くなってしまいました。もっと過ごす時間を大事に出来たらなと思う後悔が強く、それ以降犬を飼いたいと言えないでいます。